日本人でバイリンガルというと、頭が良いなど優秀な人というイメージがありますよね。
二言語使いこなせるって確かにすごいことだと思うんですが、日本人のバイリンガルの割合ってどのくらいなんでしょうか?
実は、世界にはバイリンガル国家と言われている国は55か国もあります。
欧米諸国はバイリンガル率が高い気がしますが、実際にバイリンガルが多い国はどこなのでしょうか。
バイリンガル率が高い国は、低い国と比較して何が違うのでしょうか。
バイリンガルというと、英語やスペイン語ともう一言語というイメージです。
世界のバイリンガルは何語と何語の組み合わせが多いのかも調べてみました。
この記事では、日本人バイリンガルの割合がどのくらいなのか?また世界のバイリンガル率やバイリンガルが多い国を調べて比較していきます。
Contents
日本人バイリンガルの割合はどのくらい?率が高い国と比較してみた
バイリンガルとかの定義ってどのくらいまでその言語が扱えれば良いんでしょうね
日常会話レベルなら日本人にも結構バイリンガルは居そうですが— おおぎり (@4QfOxNzZmdD5KLH) September 18, 2018
日本人で日本語ともう一言語を流暢に話す人は少ない印象ですよね。
ほとんどの日本人は中学生から英語を勉強しますが、意思疎通が問題なくできるレベルまで話せる人はごく一部だと思います。
では実際には日本人のバイリンガルの割合はどのくらいなのでしょうか?
世界のバイリンガル事情と比較してみましょう。
日本人バイリンガルの割合はどのくらい?
日本人のバイリンガルの割合は10%とも30%とも言われています。
しかしながら、日本ではバイリンガルについて積極的な調査がされておらず、正確な統計は見つかりませんでした。
英語に関して言うと、株式会社クロスマーケティングが2013年に行った「グローバル化と英語に関する実態調査」というリサーチがあります(20~40代の男女1200人を対象)
その調査によると、ネイティブレベルで意思疎通ができる人は1.5%、ビジネスで通用するレベルの人が1.8%、日常会話なら十分コミュニケーションが取れる人は5.8%でした。
そもそもどこまで話せればバイリンガルと呼ぶのか、というバイリンガルの定義も明確ではないので難しいところですが、このリサーチだけで考えると英語と日本語のバイリンガルはたったの9.1%ということになります。
さらにこの調査は20~40代限定のため、全世代を対象にすると更に低い数字が出てくると予想されます。
もちろん英語以外の言語を話せるバイリンガルもいますので、日本人のバイリンガルの割合について正確な数字を出すことはできません。
世界にバイリンガルはどのくらいいるの?
世界のバイリンガル人口は半数以上いると言われています。
どのような調査をしたのか詳細が書かれていないので正式な統計とは言えませんが、ilanguages.orgというサイトに載っている数字が目安になると思います。
- モノリンガル:1言語しか知らない人(世界人口の40%)
- バイリンガル:2言語を同じくらい流暢に使える人(世界人口の43%)
- トリリンガル:3言語を流暢に話す人(世界人口の13%)
- マルチリンガル:2言語以上を話し、しばしば4言語やそれ以上使う人(世界人口の3%が4言語以上を話す)
- ポリーグロット:複数言語で高い能力を持っている人(世界人口の1%以下が5言語以上を流暢に話す)
つまり、2言語以上話す人は世界人口の60%もいるということになります!
モノリンガルの日本と比較すると想像以上に多いですね。
参照:http://ilanguages.org/bilingual.php
バイリンガル率が高い国と比較してみた
というか、基本国民のほとんどがバイリンガルの国たくさんあるよね世界には。
— CHAGE (@chagetoasuka) August 5, 2020
世界人口の60%がバイリンガルまたはそれ以上の言語を話すということがわかりました。
世界でも英語話者がダントツで多いので、バイリンガルというと母国語+英語のイメージが強いですよね。
ということは英語圏に多いのでしょうか?
ここからは世界の中でもバイリンガル率が高い国と、話されている言語を紹介します。
バイリンガル率が高い国はどこ?
日本にいるとバイリンガルという事実だけですごい感心されるけどヨーロッパにいると4言語話せてもそこまで驚かれない😱
チェコにい住んでいた時に会ったスイス人やベルギー人はドイツ語・フランス語・チェコ語・ロシア語が話せる人に数人もあった💦
そういう人達と話すと学習のモチベーション上がる
— サクライパンダ@8月に🇮🇹渡航予定カザフと日本のハーフ🇯🇵🇰🇿 (@Pandasakurai1) June 12, 2020
実は、バイリンガル率が高いのはEU諸国なんです。
なぜならEUは多言語主義をとっていて、母国語+2言語を話すことを目標としています。
EUで見てみると母国語以外の言語を話すEU市民は54%、母国語+2言語以上を話すEU市民は25%と言われています。
その中でも母国語以外に1言語以上を話せる市民の割合が高い上位3か国はこちら。
- ルクセンブルク:98%
- ラトビア:95%
- オランダ:94%
参照:http://eumag.jp/questions/f0712/
ルクセンブルクは国土も小さく人口も少ない国ですので、必然的に他言語を使用なければ生き残っていけないと想像できますね。
ちなみに、イタリアは下から2番目で38%でした。
バイリンガル人口が多い国はどこ?
人口比に対する「バイリンガル率」を見るとどうしても人口が少ないEU諸国がトップに来てしまうのですが、「バイリンガル人口」を調べると実はインドネシアが世界最大なんです。
インドネシアではなんと746もの言語が話されており、2億人もの人がバイリンガルなんだそうです。
ちなみにインドネシアの人口は約2.6憶人のため、人口比のバイリンガル率を計算すると約76.9%となります。
何語と何語のバイリンガルが多い?
バイリンガルというとやっぱり母国語+英語のイメージですよね。
どの言語の組み合わせが多いのかというのは残念ながら正式な統計が見つからないのですが、やはり話者が多い言語の組み合わせが相対的に多くなると推測できます。
勉強する側としても話者が多い言語を習得しようと思いますよね。
ちなみに、母語話者と母語以外の話者の総数(Total Speaker)で比べるとTOP5はこのようなランキングになります。
- 英語 11.32億人(3.79億人)
- 中国語・マンダリン 11.17億人(9.18億人)
- ヒンディー語 6.15億人(3.41億人)
- スペイン語 5.34億人(4.6億人)
- フランス語 2.8億人(0.77憶人)
※カッコ内は母語話者の数
参照:https://www.visualcapitalist.com/100-most-spoken-languages/
バイリンガル率が高くなる理由は?
そうそう、シンガポールは華人が半数以上。他の民族もいるから、母語と英語の両方を習うらしい。いわゆる「バイリンガル」が多い国ともいえるね!
英語話せたら楽しいだろうなー・・・苦手なのが悲しい。— かなた@東北 (@kanatatouhoku) March 3, 2011
日本人がバイリンガルになるには、外国語の勉強を頑張るか、外国人の親の元で生まれ育つという環境がないとなかなか難しいですね。
バイリンガル率の高い国やバイリンガルが多い国では、特殊な事情があるのでしょうか。
日本とどのような違いがあるのか検証してみました。
公用語が2言語以上ある
先に挙げたルクセンブルクはルクセンブルク語・ドイツ語・フランス語の3か国語が公用語ですし、人口の約35%がバイリンガルのカナダは、英語とフランス語が公用語です。
公用語が2言語以上あるということは、国が定める言語を必ず習う環境にあり、生活に根差していますよね。
もし自分の親や親族がそれ以外の言語や少数言語を話している場合はマルチリンガルになることもあるでしょう。
ちなみに、4か国語が公用語のシンガポールは3人に2人がバイリンガルだと言われています。
英語とヒンディー語が公用語のインドもバイリンガル率が高いですね。
公用語なら喋れるの?
公用語が2言語以上あるからといって必ずしも話せる人口が多いとは限りません。
植民地の歴史を経て消滅しそうになっている現地言語を守るため、公用語にしている国も少なからずあるのです。
特にフランスの影響が強いアフリカ諸国はフランス語+現地言語を公用語にしている国が多いですね。
アイルランドは第一言語をゲール語(アイルランド語)、第二言語を英語としていますが、英語しか話せない人が85%だそうです。
日本では法令で公用語を制定しているわけではありませんが、日本語が事実上唯一の公用語です。
通常は学校で学ぶ言語も日本語で、日本語以外を使用しないと生活ができないということはまずないですよね。
英語はあくまでも外国語学習で生活に根差していないため、バイリンガルになる人が非常に少ないのではないでしょうか。
メディアの影響も?
現代では、Netflixなどのオンデマンドで世界中の映画やドラマを見ることができるようになりました。
オンデマンドがここまで世界中に広まる前から、アメリカのドラマや映画を見るのが当たり前で英語を自然と身に着けた、ということもあります。
バイリンガルの人が多い国には、そういったメディアの影響もあると考えられます。
先に挙げたルクセンブルクやオランダでは、小さいころから当たり前のように他国のエンターテイメントをその言語で楽しんでいるそうです。
アジアでも韓国や台湾の若者は日本のテレビ番組などの影響で日本語が流ちょうに話せる人が多かったりしますよね。
今でこそNetflix等の普及により日本でも海外エンターテイメントを家庭でも楽しめるようになってきました。
でも日本ではテレビをつけても日本語の番組ばかりですし、マンガやアニメ、ゲームも日本のものがあふれ返っています。
日本は国内だけで巨大なエンターテイメント市場があるというのも、バイリンガル率が低い原因の一つかもしれません。
まとめ
バイリンガル(マルチリンガルならもっと)は、資源です。なぜなら英語では決して届くことのない世界に、わたしたちは手を触れていられるからです。『ことばは届くか』(2004)
— 上野千鶴子bot (@BotUenobot) June 11, 2020
この記事では、日本人のバイリンガルの割合と、世界のバイリンガル率を検証し、バイリンガルが多い国との比較をしてみました。
日本の場合、日本語だけで生活できますし経済もエンターテイメントも日本国内だけで成り立ってしまうことが多いですよね。
一方で、バイリンガル率が高い国では、複数言語を習得するよう国が政策を打ち出していたり、メディアを通して生活に根付いていたりします。
また、バイリンガルが多い国では歴史的背景から複数言語を必要とするというのも日本との大きな違いですね。
こうしてほかの国との比較をしてみると、日本のバイリンガルの割合は正式な数字がわからないとはいえ、圧倒的に少ない環境であることが理解できました。
日本人にとってバイリンガルが珍しい存在だとしても不思議ではないですね。
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